ダメだって判ってても
怒られるのも判っちゃいても
流されてしまうとか
強くは出られないとか
どうしようもない、性分だったりしちゃうからさ
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あまいヒト-3
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銀時が目覚めたのは、ちょうど朝日が昇る頃の時間。
「……ん、」
薄く瞼を開いて視界に入る天井。見慣れてはいるが万事屋のものではない其れに、自分が今何処に居たのかを思い出す。既に土方は居ない。壁に掛けられていた隊服も無い。とうに仕事で出たのだろう。
――――やべ、時間!!
昨夜のままの惨状に気づいて焦りだす。自分はいつまでも此処に居てはマズイのだった。衣服を集めて立ち上がろうとする。腰を中心とした関節の動きがやたらとぎこちないような気もするが、構わず急いで風呂場へ向かう。
確か朝までは使っておっけー、だったな。
眠りにおちる寸前、土方がそう云っていたのを思い出す。
俺がこういう状況で此処の風呂借りるってのも、本気で褒められた話じゃねーけど……
べたべたというか、ぐちゃぐちゃだ。色んな処が。
職権乱用の副長さんのオコトバに甘えておくしかねーだろ
幸いにも誰に見つかることもなく洗い場へ入れた。風呂場の入り口に『立ち入り禁止』の木札が掛けられていたのは、土方がそう指示してくれていたからか。頭から熱いお湯を被って身体を洗いながす。
「うあ〜最っ高〜。」
頭にタオルを乗せて、ふんぞりかえって湯船に漬かってみる。基本二十四時間体勢でこの大浴場が使えるようになっているらしいというのだから、そういう意味では真選組も羨ましいものだ。
「うちのちっさい風呂とはやっぱ違うな。」
さっさと出なければならないはならないのだが……
「朝風呂って贅沢だよなぁ。」
全身を浸す湯は抗いがたい気持ちヨさ。
あったかい……
きもちイイ……
此処で、もう一回くらい眠れそうな気持ちになってしまう……
カラリ。
「――――ッ!?」
油断して意識を緩めていたからか、人の気配に気づかなかった。
や……っべ!!
誰が来たかによってはマズイことになる。屯所の風呂に部外者が居たなんて、特に沖田君なんかにバレた日には――――
「旦那〜?」
だが幸いなことにかけられた声は覚えの有り過ぎるもの。
「……ジミー?」
「すみません。失礼します。」
隊服のズボンの裾をまくって浴室へ入ってきたのは山崎だった。全く知らない隊士でなくて良かったと安堵する一方、昨夜のことがあるため若干気まずい。しかし向こうは特に気にした様子も無く事務的に話しかけてくる。
「副長に、朝は旦那だけが風呂を使えるようにしとけって云われてたんですけど、」
「……あ、ああうん。悪ィね何か。」
「あの、そろそろ掃除なんかの関係もあって、時間とかが、」
申し訳無さそうに云われる。
「あ、そっか。だよね。ごめん、直ぐ上がるから。」
云って湯船から出ようとして、思い留まる。
……ちょっと、待て!!
視界に入った己の身体。
此れ……は、あまりにも……あからさまな。
「旦那、どうしました?」
「あ〜いや……、」
あまりにも、露骨に残っているたくさんの名残り。
ちょっとオイコラ土方君んんん!!!?
鮮やかに残された痕の数々。脚の付け根と腰の辺りを中心に、咬みつかれた、吸われた痕の数々。ちゃぽん、と首まで湯船に沈み込む。
「旦那?」
「あ……っと、俺もう直ぐ出るから。うん。ちょっと悪いんだけど外で待ってて貰えると嬉しいかな〜何て、」
「……ああ。」
視線を逸らして云い淀んだことで意図を察してくれたらしい。得心した、とばかりに返事をしてくれた。
「すぐ行くからさ……って、」
だが山崎が起こした行動は予想とは反対のもの。背を向けて此の場を立ち去ってくれるか、と思いきや逆に此方に近づいてくる。
「え?」
「……副長には、どんなふうにされたんですか?」
「おい、ジミー?」
隊服が濡れるのも構わずに湯船に脚を突っ込んでにじり寄ってくる。
「どうされれば、こんなに沢山の痕が残るんですか。」
「ちょ……っ、」
腕を捕られるでもなく、ただ詰め寄られる。後ずさって、背中が浴室のタイルにふれた。
「旦那……、」
後が無いっ!!
後ろは壁……ってゆーか此処、角!!
「あの……近い……よ? 山崎君?」
「近づいてますから。」
「イヤイヤイヤ、近づいてますからじゃ無いですから。」
脇をすり抜けて逃れようとする。しかし動いたと同時、勢い任せに抱きついてきた山崎にしがみつかれる格好となり、そのままその場に拘束される。
「どうしてそんなに、そういうトコは無防備なんですか。」
「はいい!?」
意味不明過ぎる。そういうトコってどういうトコだ!?
「そんなふうにするから、そんなふうに隙をみせるから、」
抱きしめる腕に力が篭る。
「俺たちだって、我慢出来なくなるじゃないですか。」
「――――え?」
いま、俺たち……って?
云われて気づく。浴室には、自分に抱きついている、山崎以外の気配もある。他にも、居る。
「旦那!」
「失礼します!」
「すみません!」
見知らぬ若い隊士が三人。
「はいいいい!?」
てゆーか、誰!?
「旦那、一回だけでイイんです。」
「何が!?」
「本当にすみません!でも!」
「何で謝んの!? でもって何に対してのでも!?」
後ずさりたい。本気で後ずさりたい。
「せめて、さわらせてもらうだけでも!」
「ってだから何がだオイイイイイイ!!」
本気でマズイ事態に陥った。
場所もマズイ。状況もマズイ。挙句、自分に責任があるってことが何よりマズイ。
流されるのは良くないってわかってる。絆されるのもよくないってわかってる。
…………のに、
「ひぁ……っア、」
今、浴槽にしがみついて、
「ん……っく、ふ……ぅああ、」
されるがままってのは、マジでどういうことだよ自分。
「旦那……っあ、」
必死に自分の名前を呼ぶ隊士。じれったいくらいに優しく肌を撫でられるのに、内壁に突き立てられる屹立の動きは容赦なく激しい。
「い……ぃあ、く……っうあ、ぃあ、」
先程まで散々土方に穿たれていた其処は、容易く異物を呑み込んでしまう。既に広げられたいた処に、大量にぬりたくられたぬめり。両方に手伝われて、ずるずると中への進入を許した。そのまま勢いよく内壁を擦られ続ける。
「ん……っあああ!!」
浴室に反響した自分の声の大きさに思わず口を塞いだ。其れに気を良くしたのか、腰を掴んで中に突き入れる動きが激しくなる。
「ひぃ……っや、っああ、ひぁあ!!」
ぐちゃぐちゃと、粘膜の擦れる音。水に濡れた、肌のぶつかる音。
「旦……那っ、」
必死で自分を求める声。硬く尖った胸の突起が、ぬるりとした感触に転がされた。
「……っふ、あ、」
「旦那、ココも……すげぇ硬くなってる。」
「や……っめ、」
熱に浮かされたような表情で山崎が見下ろす。
「止められると思いますか、」
云うと再び唇を胸元に吸いつける。先端を舌先で押しつぶして、甘く歯をたてられる。土方も散々そうした処。弄られ過ぎて、痺れたような感覚しかない。
「く……っあ、うぁ、」
なのに刺激される度、其の中心にぞくりと痺れるような快感が這う。
「そんなヨさそうに……声だされちゃ、」
「ひゃ……っあ、って……め、」
睨んだつもりだったが、効果は無かった。しつこく指の腹で乳首をつぶして弾かれる。
「すご……い、何回つぶしても戻ってくる。」
嬉しそうに呟く山崎。
「お願いです……旦那、」
熱に浮かされたような表情で、両手を頬に添えられる。
「……えて、ください。乱暴にはしないから……っ、」
「ば……っか、無理――っ!!」
逃れようとも腰は固定されている。前にも後ろにも逃れようがなく、差し出された昂ぶりをそのまま咥内へ捻じ込まれた。
「……っぐ、んぅ、」
「……っあ、」
山崎が熱い息を吐く。後ろを突かれた反動で、咥内と咥えた其れが擦れる。
「ん……っく、……ぅし……んぅ、」
酸素不足と熱で頭がぼうっとする。ぐちぐちと掻き混ぜられる音と、身体の中を擦られる感覚だけが行き交う。
「ん……っひ、んっく、んうう!!」
一際激しく抜き挿しされて、後ろに埋め込まれた熱い塊がびくりと震えた。
「出……ますっ!!」
身体の中で、びくびく震えて達する動きがリアルに伝わる。
も……意味、わかん……ね――――――――
繰り返される行為に朦朧とする。ずるりと楔を引き抜かれたかと思えば、また直ぐに次の塊を埋め込まれる。
きもちイイ…… けど…………限界、だ……って、ば。
「も……ぉ、」
無理だって、ホント――――――――
「…………ん、」
薄く瞼を開いて視界に入る天井。見慣れてはいるが万事屋のものではない其れに、自分が今何処に居たのかを思い出す。
「あ、旦那。気がつきましたか?」
「……え、」
「どうぞ、飲んでください。」
云いながら冷たい水を手渡される。心配そうにそうしてくれたのは山崎だった。
「すぐに副長を呼んできます。」
「え、待て。土方って……何で、え?」
状況が飲み込めずにうろたえる。着た覚えの無い浴衣。今居る部屋は土方の部屋だが、戻った覚えも無い。
「旦那、長湯でのぼせた挙句に脱水症状で倒れたんですよ。呑んでウチに来るのも結構ですけど、体調だけは本気で気をつけてくださいね。」
「え……マジ? 脱水ってえ?」
早口に説明されて、更に混乱する。
「あの……それと、」
山崎が傍らに膝をついて、乱れていたからだろうか、浴衣の衿をきっちりと直された。
「浴衣は自分で着たことにしておいてください。俺が旦那を見つけたのは脱衣所だったってコトで。」
「コトで……って、」
「旦那が倒れた事を連絡したら副長、すっ飛んで帰ってきました。無理矢理仕事を終わらせてきたようです。」
「うわぁ……、」
「……それと、」
「あん?」
「何処も……その、お身体に支障は……?」
視線を逸らして、とても云いづらそうに問われた。
「――――――――ああ、」
その瞬間にさあっと総てを思い出す。
「そう…………ね。」
浴室で繰り返された行為。もう若くもないというのに、散々無理をさせられた記憶が甦る。ありまくりだよバカヤロー……と、怒鳴りつけて木刀で殴り倒してやろうと思った。
……が、
「……次やったら三分の4殺しな。」
じろりと鋭い視線を遣って宣告するに留めた。
「旦……那、」
助かったとか、それでイイんですかとか、色々な感情が一気に現れたようだ。困惑した表情が向けられる。
「だって……其れだと、」
だがやはり、一番は申し訳ないことをしてしまったという気持ちなのだろう。おずおずと申し訳無さそうに山崎は口を開く。詫びられたところでどうなる問題でもないのだから、謝られてもどうしようもないのだが…………
「殺しを……通り越しちゃうんですけど、」
「……あ?」
「あの……ですから、三分の四だと殺しを通り越して……、」
「るっせぇえええ!! スペシャル苺パフェ年間パスポート一枚で手ェ打ってやるつってんだろがさっさと土方呼んで来いやゴルァアアアアア!!!!」
「はいいいいいいっ!!」
逃げるようにして山崎は部屋から転がり出ていった。
「……ったく。」
本気で、本気で真選組には局長に始まり副長から隊長、監察に至るまで、ロクなヤツが居やしない。あれだけ申し訳無さそうな顔をしておいて、詫びるよりも先に突っ込むとはどういう神経をしているのか。挙句、しばらくは山崎に糖分を貢がせ続けられることになったが、結局は一発もぶん殴らずに許してしまったような格好だ。
「やっぱ俺、甘いかなぁ。」
ついやらかしてしまったコトだし、此れで、許してしまっても良いかと思うあたりが。
……うん。どうしようもないくらいに甘過ぎる。
さて。
問題はここからだ。
浴室での件は、土方君にはバレるだろうか。
そしたら土方君には…………何て言い訳しようか?
20131219改(KTサイト70000打リクエストより)