SHORT STORY 過去に捧げたものたち

back next MENU



 此れは、真選組随一
 総てに溶け込む圧倒的な地味さを誇る山崎退と
 万事屋唯一の突っ込み担当でありながら
 比類なき地味さを誇る志村新八の
 まだまだ続く受難の日々の物語

――――――――――――――――――――
 温泉旅行-2
――――――――――――――――――――

 見上げる夜天は、どこまでも深い紺色。白い星が散りばめられて、吸い込まれてしまいそうになる。
 空に向けて腕を伸ばすと、水が跳ねて落ちる音だけがあたりに響いた。本当に、吸い込まれるというよりは、飛び込んで行きたくなるような空。どこぞの黒いもじゃもじゃ頭が脳裏を掠めて苦笑する。
「あ〜気持ちい〜。」
 誰にも邪魔されることの無いひとりだけの空間。こういうものなら露天風呂も悪くは無いと、浴槽の縁に背中を預けて思い切り伸びをした。
「な〜にが気持ちイイだコラ。」
「――――っぶお!?」
 声が聞こえたと思った瞬間、頭のてっぺんを小突かれ湯の中で身体がずるりと滑った。伸ばしきっていた身体のバランスを崩し、水没する。
「ぶ……っは、テメェ!!」
 そうした相手が誰かなど、確認するまでもない。間違い無くこんなことを仕出かすヤツはひとりしか居ない。
「清掃中って書いてあっただろうが!」
 濡れて額にはりつく前髪をかき上げて怒鳴る。
「だったらてめー全体的にもう少し控えめに使えや! 着てたモン全部脱衣所に堂々と放り投げて、露天風呂貸し切りにしてふんぞり返ってるってどんだけだ!」
「腰にタオル巻いて温泉につかろうなんて無粋するヤツが、エラそうに説教こいてんじゃねーよ。」
 銀時は浴槽の縁に頬杖をついて、ひらひらと手の平を上下に振る。あっちへ行けなのかこっちに来いなのか、とても判断のし辛い仕草。
「清掃中の札下げといて堂々と湯につかってるようなエセ従業員こそ偉そうなこと云ってんじゃねーよ。」
「掃除ならさっき新八と全部済ませたんだよ。ちゃんと仕事した後なんだからちょっとくらいイイだろ。つーかお客様のご利用時間はとっくに過ぎてますが?」
「知るかよ。」
 銀時に構わず、土方はつかつかと洗い場に向かう。
「てめーのせいで風呂に入りそびれちまったんだからしょうがねーだろ。」
「何で俺のせいだよ。」
 云った銀時をじろりと睨む。
「上様が呑み過ぎで白目むいてたじゃねーか。」
「だっけ?」
「挙句、松平のとっつぁんまで潰すたぁ、」
「ああ、あのオッサン。強かったよな。」
 数時間前、将軍たちより一足先に宿に戻った銀時ら万事屋メンバーは宿の従業員としての業務をこなしていた。
 観光から戻った将軍様御一行は、夕食を隊士も交えて早めの時間からの宴席としていたのだ。其処に、途中から何故か当然のように万事屋の主が交じっていた。膳を出し酒を運び、珍しくきちんと仕事をしている……と思いきや、気づけば普通に将軍と松平片栗虎に酒を注いでいた。銀時は何でもないことのように云ったが、松平片栗虎の酒の強さは相当なものだ。伊達に遊び歩いていない。無駄にキャバクラを渡り歩いていない。酒を注がれることに慣れている、呑むことに慣れているあのツワモノを、銀時はあっさりと潰してみせた。
 意識が無くなる処まで。
 宴席が済んだら将軍を連れてキャバクラに繰り出すのだと宣言していたマフィア……もとい不良警察長官を、いとも簡単に。
「おめーは全然呑んでなかったな。」
「だから、俺は仕事で来てんだって云ってんだろうが。呑気に酒なんか呑んでられるかよ。」
「ご苦労なこって。」
「…………。」
 土方が呑めなかった本当の理由は別にある。
 将軍らに絶妙のタイミングで酒を注ぎ、話を聴き、良い気分にさせて酒をあおらせる銀時の手練。
 宿の従業員の色気もそっけもない制服を着せられている、あんなヤロウに酒を注がれて愉しいものか、と。必死で自分を納得させようとしてみたものの、それは徒労に終わる。
 明らかに上機嫌な将軍と、この後キャバクラに行くと、自分で云っていたことを忘れているんじゃないかという状態にまでなっている不良警察長官。
 その手練を何処で覚えてきたのかと思えばそれはそれで落ち着かなかったし、誰かに仕込まれたものかと思えば、落ち着かないどころか腹が立ってきた。
 酒を注ぐ銀時の姿に無意味な想像が頭の中を廻り、悶々としたままろくに酒も呑まぬまま、宴席はお開きとなった。
 潰れた将軍を介抱し生き残っている真っ当な隊士に後を任せ、千鳥足で暴れる警察長官を黙らせ、ようやく一息つけたのがついさっき。
 そして現在に至る。
 キャバクラに連れて行かれるよりはまあマシだったが、これはこれで面倒な後始末だった。
「うし。じゃ、一日頑張った副長さんに御褒美やるか。」
「あ?」
 ザバァ、と。云うなり頭から湯を掛けられる。
「オイゴルァ……、」
「え、だって頭は濡らしてからじゃねーと洗えねーだろ?」
「コレ明らかにさっきの仕返しだろうがテメ……喧嘩売ってんのか!?」
「はいはい大人しくしようね? 銀さんがこんな気紛れ起こしてやるなんて滅多に無いからね。」
「……あ、オイ!」
 勝手に備品のシャンプーのポンプを押して、あっという間に頭を泡まみれにされる。
「目に入るとしみるから、閉じとけよ。」
「てめーの前で目ェ閉じるとか、ンな恐ろしい真似が出来るか。」
「大丈夫だっつーの。こっちだって地味に肉体労働させられて疲れてんだ。変な悪戯はしねーよ、多分。」
「多分だろ!? てめーのソレが一番信用出来ね……ぇ、」
「ま、別に信用出来なくていーけど。たまには全部人にさせんのも、気持ちイイもんだぜ?」
 さかさかと、銀時の指が髪に泡を絡ませていく。口先はともかく、施される行為は彼が云う通り。恐ろしく気持ち良かった。
 続けようとしていた文句が、思わず途中で途切れてしまうほど。
「あ〜……。」
「な?」
 不覚にも土方は黙らされてしまった。
「くそ。」
「何だよ。」
「其処、もうちょっと右。」
「気持ちイイんじゃねーかよ。」
「もう少し強くてもイイな。」
「少し足りないくらいでイイんだよ。」
 丁寧に泡を混ぜた指が濡れた髪の束を梳いて、指の腹が頭皮を撫でる。凝り固まっている処は少しだけ強く。溜まった疲れを押し流すようにマッサージされると、不覚にもゾクリとするほど気持ちイイ。
「ンとに、お前は器用なやつだな。」
「そりゃどうも。貞春もたまにこうしてやると喜ぶぜ。」
「イヌあつかい……かよ、」
「不満?」
「たりめー……だろ。」
 明らかにニヤニヤしているであろう声で云われたが、気持ちが緩み過ぎてどうでも良かった。固まっていた身体の芯が解されるようなこの感覚にひたっていたい。
「流すぞ〜。」
 シャワーから勢いよく湯をあてられて、纏わりつた泡を流される。肌に残る指先の感触まで洗い流されたようで、少しだけ勿体無かった。
「よ〜し終了……って、オイ。」
「あん?」
 銀時があらぬ処を睨みつけたまま呟く。
「何ですか其の……軽く腰に巻いたタオルを押し上げている何かは。」
「……ああ、」
 土方からすれば途中から自覚があったもの。
「さっきのてめーのが気持ちヨ過ぎて、勃った。」
 さらりと云って土方は腰に巻いていたタオルを剥ぐ。
「いや見せなくてイイし! つか近寄ってくんな! どんだけだあああ!」
「何逃げてんだ。湯船につかる時は取れって云ったのてめーだろうが。いい加減冷えてきたんだよ。オラ。」
 土方は銀時を引き摺って一緒に湯船の中まで連れて行く。後ろから抱きすくめるようにして無理矢理肩まで沈めると、腕の中に居る銀時は身を捩る。
「待って土方君、ナニか当たってるからちょっと待って!」
「何もしねーから落ち着けよ。」
「その状態のてめーなんか信用出来るか!」
「ほぉう……。」
 低い声で云うなり土方の手が銀時の脚の間に伸びた。
「――っう……っひゃお!?」
 迷うことなく目当ての場所を見つけた指先が、入り口となる処に押し当てられる。
「今この場でして欲しいってんなら、こっちとしては断る理由はねぇがな?」
「や……っめ、莫迦、」
 ぬるぬると入り口付近を緩めるように動く指。うっかりするとそのままするりと中に入ってしまいそうになる。
 もがいた手の平が湯面を叩いて、気づいた。この温泉が、どうにもとろみというか、ぬめりの強い泉質だったということに。湯船の中でふれあう互いの肌が、随分と滑りあっていることに。
「――――っんぅ、」
 いつの間にか硬くなっていた銀時の屹立にも、土方の手が絡んだ。
「……は……ぅあ、」
 幾度か上下に動かすと、銀時は甘く啼いて頚を振る。
「のぼせる……って、」
「入ったばっかりだろうが。」
「掃除……したんだぞ、此処で出させる気かよっ、」
「……しょうがねぇな。」
 早くも上気しかけている銀時の頬に気づいて、土方は手の動きを止めた。銀時の身体から力が抜けて、背中に居る土方に完全に体重を預けてしまう。
「あ〜……マジでヤられちまうかと思った。」
 ゆらゆらと湯船の中に脚を泳がせる。
「てめーで誘っておきながら何云ってやがる。」
「いや誘ってねーし。たまにはゆっくり湯船にでもつかって、浮世の垢を落とそうとか思えねーのお前。」
「何度云わせりゃ気が済むんだ。俺は仕事で此処に来てんだよ。」
「その仕事、今日はもう終わりだろ。」
「……どっかの誰かさんのせいでな。」
「お陰の間違いだろうがよソレ。俺があいつら潰してなかったらテメー、今頃キャバクラ強制連行だぞ。風呂にも入れてねーんだぞ。」
「とっつぁんはともかく、上様が急性アル中にでもなったらどうしてくれるつもりだお前は。」
「どうしてヒトコト、温泉街に来てまでキャバクラ行かなくて済みました有り難う……って云えねーかなてめーは。」
 振り返り、不機嫌そうな貌で云われた。
 ……云えるかバカヤロウ。
 自分の中にやましい考えが閃かなければきっと云えていた。
 実際問題、夜の街を出歩かれるのは面倒なのだ。ましてや其処が知らない土地ともなれば、護衛を任される者としては本当に面倒だからそれが無くなって助かった、と。褒められたやり方じゃないが、まあ楽にはなった、と。
 しかし自分の中はやましい考えだらけだった。
 この後で外に出歩く将軍らに付きあわされるのかと思ってうんざりしていた宴席で、銀時がふたりを潰してしまって。その後の空いた時間のことを、外に護衛として駆り出される時間がキレイに空いてしまったことを、違う理由から喜んだ自分が居て。
「……どうした?」
 黙り込んだ土方を銀時が見上げる。
「どうもしねーよ。」
 紅くなった頬に我慢が利かなくなりそうだ。欲情を隠せない表情のまま、土方は銀時の頤を掴んでその頚に咬みついた。
「――――っん、」
 肌にやわりと歯をあてて、抉るように舌を這わせる。
「……あ、」
 間違い無く、こういう状況を希んだ自分が居て。
「土方君、」
 耳元に響く声に、甘く痺れる。
「もうちょっとだけ、このまま……ね。」
 濡れた腕が頚にまわされる。冷えた外の空気にさらされた肩に、温かい肌。身体に纏いつく湯に、やわらかくくるまれて、解けてしまいそうになる。
「……のぼせるぞ。」
「ンなヘマしねーよ。」
 見上げる夜天は、どこまでも深い紺色。白い星が散りばめられて、吸い込まれてしまいそうになる。



「んあ……、」
 情けない声を出して、腕を放すとぼとりと布団に落ちる銀時。
「結局のぼせてんじゃねーかよ。」
「う……っせー。」
 温めの湯に油断したせいか。絡まる互いの身体が心地よく、いつまでもあの場から抜け出せずにいたせいか。
「水……くれ、水。」
 だらしない格好で伸びきったまま、銀時は土方に水分を求める。
「客に介抱される従業員なんて、聞いたことねーぞ。」
 文句を云いながらも土方は求められるまま、銀時に水分を渡した。ペットボトルのミネラルウォーターは一息に飲み干されてしまう。
「……っあ〜。」
「オッサンだな。」
「うるせ。おめーだって風呂につかりながら似たような声出してたくせに。」
「一緒にするな。」
「一緒だろうが。むしろお前の方がオッサンくさい声だったね。」
 へばりながらも悪態を返すことだけは忘れない。
「くそ、あ……っちー、」
 仰向けに身体を放り出して、さっきせっかく着せてやった浴衣を思い切りはだけさせてばたばたと胸元を扇ぐ。
「水分、まだ足りねーなら買ってくるぞ。」
「んや、もうイイ。あと悪ぃけど少しだけ休ませてくれよ。」
「てめーは本当に此処の宿に依頼されて仕事をしに来てんのか?」
「やるべきこたァちゃんとやってんぜ? お前が思ってるほどサボっちゃねーよ。」
 銀時はころりと身体を転がして、傍らに座していた土方に近づく。
「とゆー訳で、けっこう真面目に働いてたからあんまり体力は残っちゃいませんが。」
「……おい、」
 伸ばした腕を頚にかける。
「シてイイぜ?」
「銀と……、」
「そういう貌をされてるとさぁ、」
 力を込めて引き寄せられる。
「こっちの方が煽られるんだよね?」
 どういう貌だよ……と、云ってやろうと思った土方は、だが云うより早く身体が動いていた。のぼせたせいか、いつもより紅い唇に咬みつくように口吻ける。
「……んぅ、あ、」
 抱きしめた身体は熱いのに、先ほど水を含んだ咥内は冷たく潤う。
「てめー……エロイ。」
 耳朶の後ろに舌を這わせて囁く。
「――っく、」
 低い声と僅かに振動する空気が伝わって、銀時の肌が粟立つ。
「ど……っちが、だ!」
 頚、鎖骨と胸を辿って腰。いつもと何か違うのか、肌を確かめるように土方の舌と手の平が銀時の身体を這う。
「エロ……オヤジみてーなさわり方、しやがって。」
 身を捩って逃れようとする銀時の脚を、自らの脚に絡めて押さえつける。
「誘ったのはテメーだ。」
 するりと腰をなぞる。びくりと銀時の身体が跳ねる処を見つけて其処に咬みつくと、焦れたような啼き声。
「――――っひゃ、……あ、」
 耳と、その後ろ。項と胸。腰骨とその周り。始めはくすぐったそうに身をすくめるばかりだが、攻め続けると確実に快楽に繋がる反応を示す処。
「……や……ア、放せ、」
 咬みついて鬱血するまで吸い上げると、鮮やかな紅が白い肌に散らばる。ふれる熱い肌は、汗ばんで指先に吸いつく。
「もともと……てめーの肌は手ざわりよかったけどな。」
「んあ……あ?」
 そう云われることが、特に嬉しくはないのだろう。とても愉しそうに云った土方に、銀時は怪訝そうな表情を返す。
「今は、肌にうすく膜でも張ったみてーだ。気持ちイイ。」
 ちゅう、と音を立てて平らな胸の突起を吸い上げる。
「――っひ、」
 舌先を尖らせて中心を潰すように抉り、その間も感触を確かめるように、銀時の肌を土方の手の平が這う。甘咬みで潰して、舌先で抉って転がして、吸い上げて。感覚が麻痺しかけるまで延々と口に含んだ其処を土方がようやく解放した時、銀時の鈴口からはぱたぱたと透明な体液が零れていた。
 念入りに指先で崩されて、入り口を緩められた後孔がはくはくと息をつくように収縮する。
「――っん、あああ!」
 身体の中に埋められた指の腹がぐるりと内壁をなぞって、銀時の背を反らせた。
「ひ……じ、かたぁ、」
 震える脚。ひくつく肛内。
「体力……ねーって、云った……ろっ、」
「ンなこたぁわかってるよ。」
 だから翌日に負担が残らないよう、最大限身体に負担がかからないような抱き方にしているというのに。
「だ……ったら、テメ、」
「もう少し……ちゃんと、緩めた方がイイだろ。」
「や……っあう、く――――っあ、」
 優しく、少しずつ中を崩そうとしているのに。批難がましい眼で睨まれる。
「も……ぉ、十分だって、」
「ンなことねーよ。万が一にでもてめーの身体に傷がついちゃいけねぇ。」
 ぐちぐちと音をたてて、尚も中をこじ開けるようにして動く。土方が本当に狙って攻めているのは、銀時の中のほんの一点だけだが。
「ん――っく、あ……ふぁ、」
 イきそうになっては動きを逸らされを繰り返す。
「なん、何だって……も……ヤダ、ア、」
 涙を零しそうになる銀時の眦に土方が口吻けた。
「俺ァ、イヌだからな。ご主人サマのためを思っての行動しか出来ねーんだよ。」
「……っは……あ!?」
「俺が自分の好きなように、無理やりにてめーに突っ込んだら、てめーの負担になるだろ?」
「あ……て……っめ、」
 どうやら土方は風呂場でのやり取りを根に持っていたらしい。
「ふざけ……、」
「てめーの身体のコトを最優先に考えて抱いてやらぁ。」
 云うなり尖らせた舌先でぐるりと鈴口の窪みを抉る。
「い――っあ、」
「ほら、まだ後ろの締めつけがキツイだろ?」
「こ……っの、」
「もっと慣らさねーと、中に傷がつく。」
「――っひ、」
 土方は恐ろしいほど優しい声を、耳元まで来て囁いた。
「んの……ヤロ、イヌならご主人サマの云うコト……くらい、」
「ご主人サマは、さっきから喘いでばっかりで、マトモな言葉を発しちゃいねーな。」
「――――っ!!」
 意地の悪い、心底愉しそうな笑み。
「主人には忠実なイヌだからな。希望を云えばその通りにはするぜ?」
 土方は尚も、達するにはほんの少しだけ足りない快楽をひたすら与え続ける。云わなければずっとこのままだ、と。
「……っう、」
 暗に脅されているとしか思えない。
「も……ぉ、」
 銀時が出したのは消え入りそうなほど小さな声。
「く……っそ! さっさと、挿れろ……って、」
 ただでさえのぼせてぐらぐらとしていた頭。そこをこんな中途半端な快楽で掻き混ぜられては堪らない。楽になれるなら何でもイイ。
「少しキツイかもしんねーぞ。」
「イイ……っから、早くしろ、莫迦!」
「……可愛くねぇ。」
 苦笑いで呟いて、硬く張り詰めた屹立で銀時を一気に貫いた。
「――っあ、ひああ!」
 本当は、キツイ訳なんか無い。傷つけるようなヘマもしない。幾度も繰り返した行為。ぐちゃぐちゃになるまで崩して緩めた後孔は、土方を丸呑みにする。貫かれた瞬間、銀時の肌が粟立った。快楽に濡れた紅い双眸が土方を撫でる。
「――っいあ、」
「……っく、」
 それが、ぞわりと土方の芯を這う。暴発しそうになる。ふわりとしているくせにきつく締めつけてくる内壁よりも、熱く絡んでくる体温よりも、何よりもその眼に煽られる。堪らなくなって腰を打ちつける。
「っは、……んやあ……っあ……っく、あ!」
 眉根を寄せて、揺さぶられるがまま。
「っひゃ……あ! ……っあ! ん、ヤ……ひああ!」
 あっさりと銀時は吐精した。
「……っく、はあ、」
 びくびくと中が震えて、肩で息をする。
「ひじ……かた、俺……もぉ、無理……だから、」
 最初に焦らしすぎたせいか、銀時ぐったりと腕を落とす。力の入らない脚を何とか動かして、土方の下から抜け出そうとした。繋がりが解けそうになる。
「銀時……、」
「んあ?」
 その銀時の脚を、土方が抑えた。
「っあ、おい……っん、」
 抜けかけていた自分をもう一度ゆっくり、奥まで埋め込む。
「ひ……じかた、ヤメロ。てめーだって明日も仕事だろ。」
「……まぁ、そうだがな。」
 云って、ずるりと内壁を引き摺りながら土方が腰を引く。しっかりと脚を押さえたまま。
「あ! ヤ――――っめ、」
 次に何をされるか気づいたた銀時は逃れようと身を捩ったが、叶うわけも無く。
「――――っひゃ……っああ!」
 勢い良く、土方の屹立が一気に根元まで埋め込まれる。ぞくぞくと背筋を這う痺れ。
「ひ……ぃあ、ヤダ。」
「明日、仕事だとか何だとか……、」
 ギリギリまで抜き出されて、また一気に奥まで捩じ込まれる。
「ひ……っくあ、」
「知らねーよ。ンなヨさそうに喘がれて、あんな名残惜しそうな貌してるテメェを、俺が逃がせるとでも思ったか?」
「ちょ、待て、莫迦お前――――っア!」
「恋人だからな。」
「……は?」
「俺は、テメーを満足させることしか考えちゃいねぇよ。」
「……っちょ、あ、」
 土方は銀時の首筋に口吻けて、くっきりと紅い痕を残す。
「この肌……マジで他にはさらすんじゃねーぞ?」
「はあ!? 何を……意味わかんね……っん、」
 反論を口吻けて塞ぐ。
「――――っひ、あ!」
 体勢を立て直して、再び深く、幾度も銀時の中を貫いた。
「っや、……あ――――ッイ、ひゃ――――ああ!」
 堰をきったように零れる涙。喘ぐだけの声。痛みの無い快楽にかき乱されて、跳ねる白い身体。おかしくなるから助けろ莫迦、と。最後まで可愛くないセリフで喘ぎ、意識を飛ばした銀時。
「いっそ俺でおかしくなっちまえ。」
 呟いた土方は緩く開いたままの銀時の唇に口吻けて、もうひとつだけ、白い肌に咬みついて鮮やかな紅い痕を残した。



 翌朝。真選組一同を見送る万事屋一同には欠席者が一名。
「えっと、聞くまでもないんだろうけど、旦那はどうしたのかな?」
「僕らはお宅の副長さんのお財布から出たお金でもう一泊していくことになりました。それ以上は何も聞かないでください。」
「それは確認したくも無いけど、ウチの副長が原因だからそうなったってことだよね?」
「あんな爛れきった大人の事情なんて知りません。」
 たりは同時に深い溜め息をつく。どうあがいても振り回されるしかなくて、それでもあの上司たちから離れられない自分たちに。
「苦労しますね。」
「本当に。」
 こんな日々が、きっとまだまだ続くんだ。
 困ったことに。





20131219改(KTサイト80000打リクエストより)


back next MENU