SHORT STORY

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 足りないもの
 素直さ
 有り余っているもの
 意地とプライド、大好きなきもち

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 熱処理
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 最近思う。
 もしかしたら、要らないものかもしれないと。
 無い方が、楽なのかもしれないと。
 あいつといると、どうしても譲れなくて、主張してしまう意地とプライド。
 いつだって俺は、下らないコトに拘って、あいつが相手だと其れが更に譲れない。
 俺を縛る、好き以外の気持ち。
 だからきっと、ホントは要らない。
 意地もプライドも体面も。
 あ、体面はいっつも気にしてないっけ?
 でもまぁきっと、そんなものは本当に要らない。邪魔でしかない。
 なのに……土方といるといつもより余計に出てくる。
 足を開いて転がされる。
 とんでもない体勢にさせられる。羞恥で頭が爆発しそうで、それでも欲しくて受け入れてしまう。本当は考えている余裕なんかない。
 土方が中にいると、其れだけで狂いそうに熱い。
「――――マジ、痛ぇ……って!!」
 なのに結局、俺は俺を組み敷く男に悪態をつく。
「知る……かよ。」
 いつしか身体を重ねるようになったこいつは、見つめてくる優しさとは裏腹。この行為に関してはいつも強引で、俺が厭がるのも構わずに、強引に内部を抉じあけてくる。
「……んの、ヤロ、」
「てめぇが力を抜けば、少しは楽に……なる、」
「む……っりに、決まってんだろ。」
 抗う俺の中を解していく土方。
「――ぅア……っ、」
 そのうち、触れられては困る処を土方の指先が掠める。見つけられればいつも其処ばかりを攻められて、俺を滅茶苦茶にしてしまう弱点。
「く……ぅ、」
 指の腹で其処をつ……と探られて、漏れそうになる声を堪える。
「声、聞かせろよ。」
「――――っ……誰が、」
 耳もとに低い声で囁かれた。其の声にぞくりと痺れる。俺の好きな声。
 油断して力が緩んだ隙に、硬い屹立に貫かれる。
「――――ッ……ひァ、……っく、」
「中、熱いな。」
 思わず仰け反った喉をきつく吸いあげられた。
 てめぇの方が余程熱いと、云ってやりたい。
 噛みついてくる唇も、俺の中を穿つ其れも。
「動く……ぞ。」
「待てって、まだムリ、」
「待てねぇ。」
 余裕の無いその眼に、もっていかれそうになる。
「……っあ、この……ヤロ――っ、」
 抱き締めて抜き挿しされる中も、ふれる肌も、熱い。切れそうになる理性をぎりぎりで繋ぎとめる。
「っア、ん……あ……、っく、」
 土方の体温が気持ちイイ。
 皮膚から浸蝕されて、とけてしまいそうな気になる。
 もし俺が、何も考えずに声をあげて、悶えて、思うさま乱れれば、どうする?
 身体の中の土方の熱にとかされて、溺れてみたい。
 でもそんなトコロは、絶対に、土方には見られたくない。
 鬩ぎ合う理性と欲望。
「そ……こ、イヤだ……ってんだ……ろっ!!」
 俺がびくびくと反応する処ばかりを狙って突いてくる土方に、耐えられなくなってその動きを止めようとする。
「コレが、厭の反応かよ。」
「――――っひア……っぅ、」
 貫く動きにあわせて、前の勃ち上がりを扱かれた。
 こいつは本当に俺がダメになりそうな処ばかりを攻めてくる。
 それもやたら楽しそうに。
 けど俺だって男な訳で、惚れたやつの前で、こんなみっともない姿ばかりをさらすのは、ゴメンな訳で――――
 我も無く喘ぐなんて、出来ない。
「ん……っく、ふ、」
「銀時……、」
 名前を呼ばれる。
 そういう愛しそうな眼で、見んなよ。
「てめぇエロすぎ……。」
「ざけんな……っ、ど……こが、」
 睨みつけた瞬間に、中を深く抉られた。
「ぅア!! ……っん……――っアア、」
「その声。」
「だ……ったら、てめぇも突っ込まれてみろ。」
 強がってみせる。
「それは、ゴメンだな。」
 云って、土方が俺の泣き処を擦りあげた。
「ひぁっ、」
 思わずこぼれる声。
「てめぇを啼かす方が、余程楽しい。」
「じょ……だんじゃ、ねぇって……っ!!」
 生理的にこぼれる涙。拭いもせずに土方を睨むと、眦をぺろりと舐められた。
「大好きだ。」
「……っ、知……るか……っんア、」
 反発しても、そんなふうに云われて突きあげられるから、身体中が熱に変わる。
 止まらない。
 俺だって、大好きなんだって。
 てめぇも、てめぇに抱かれんのも、全部。
 たまらなく、好きなんだ。
 でも――――――――



「ざけんなっ!!」
 俺の中を好き放題にかきまわしてすっきりした表情の土方。
 その土方に、散々に揺さぶられたせいで痛む腰。
 痛みを無視して土方に蹴りを入れてやる。
「イ……って、何がだよ!?」
「痛ぇっつってんのに強引に突っ込んできやがって!! ケツが割れたらどうしてくれんだよ!?」
「ケツは元々割れてるモンだろうが!! 後半てめぇだって散々ヨがってたくせに文句云うか!?」
「身体ン中にあんなモン突っ込まれたら誰だってアレぐらいの声は出るわボケ!!」
「て……めぇは、もうちょっと素直に可愛く抱かれてみるとか出来ねーのかよ!?」
「だったらおめーが可愛く抱かれてみろや!!」
「冗談じゃねぇ!!」
「俺は常にその冗談じゃねぇコトをされてるんだっつーの!!」
 睨みあう。情事の後だからと、睦みあうなどしない。
 甘さも皆無だ。
 俺たちは此れが普通。
 もう慣れすぎて、此れ以外がわからないくらい、慣れたいつもの、事後の遣り取り。
 無言で土方の手がのばされて、腰をさすりだす。
「イヤ、そんな事してくれたって、痛い事に変わりはないから。」
「……そうかよ。」
 その言葉に、あっさりと手を引く土方。
「何で止めんだよ。」
 なので、咎めるように云ってやる。
「はぁ? テメェたった今自分が、」
「おめーの手にさわられんの、キライじゃない。」
「……は?」
「痛いコトには、変わりないけど。」
 土方は何か云いたげに口を開いたが、小さく嘆息してまた俺の腰をさすってくれる。
「あったけぇ……。」
 ぽつりと呟く。
 やっぱり俺には、これくらいが精一杯だ。
 もっと素直に甘えてみせれば違うんだろうけど、簡単に、素直になんかなれるもんじゃない。
 結局こいつの事が大好きで、痛かろうと何だろうと、抱かれるのが嬉しい自分がいる。強引も喜ぶ自分がいる。
 この程度のことで、あたたかい気持ちになってしまう自分がいる。
 意地とプライド、最後の砦。
 下らなくても必要なくても、絶対このまま。捨てたりできない。





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