悪戯って
イヤがられれば
イヤがられるほど
楽しかったりするモンだろ?
――――――――――――――――――――
へんたい?
――――――――――――――――――――
「イヤだ!! ぜってーに、イヤだ!!」
「何でだよ。」
きっかけは些細なことから。
久々の休暇で、万事屋に入り浸っている際の出来事。
私服で万事屋を訪れると、子供たちは気を利かせて(とてつもなく冷たい眼で見下された気もしたが)、さっさと志村家へ避難してくれた。
いい年こいたムサイ大人の男ふたりが、並んでソファに腰掛けて、遠慮なくいちゃつくことだってできる状況だった。
なので俺は、駄目で元々。叶えばラッキー。
銀時へ、膝枕での、耳掃除を依頼した。
厭がる銀時(きっと照れているのだろう)を押し切って膝枕の体勢に持ち込み、腰に腕をまわして抱きつく。額を腰にすりよせて、其処から断固として動く意思がないことを示せば、銀時は諦めて、渋々ながら、此方の希望を叶えてくれた。
やたらと文句や悪態を垂れ流しながらも、銀時が俺に施してくれた耳掃除自体は、どこまでも丁寧で、繊細な作業だった。痛みもなく、銀時が器用だったせいか、やたらと気持ち良く、癒し効果も抜群だった。
日々の疲れのせいもあるだろうが、この年で、うっかり涎を垂らして寝入ってしまうかと思うほど、気持ち良かった。
……なので、俺も銀時に、同じことをしてやろうと思った。
ただ純粋に、人にしてもらうのが、これだけ気持ちがいいのなら、是非銀時にも……と。
いっつも自分で耳とか鼻とかほじってんじゃねーよ、と。
たまには俺がしてやるから、遠慮せずテメーも横になれ、と云って。
そしたらどういう訳か、全力で拒否された。
「イイから!! 必要無いから!! そういうの全っ然、求めてないから!!」
あまりにも、とてつもない勢いで厭がるので、逆に、火がついてしまった。そう云われると、何が何でもしてやらないと気が済まなくなる。厭だと云われれば余計にしてやりたくなるのが、人間の心理というものだ。
銀時の手から耳かきを奪い取ると、本気で逃げ出そうとするので、衿を掴んで引き倒す。
「ぐえ、」
「何だよ。人が折角してやるっつってんのに。おめーが思ってるほど俺は不器用じゃねぇぞ。」
「いえ結構です。マジで結構です。お休み中の副長さんにそんなコトをしていただくワケには……ね?」
「……何で、そんなに厭がってんだよ?」
「厭がってない!! ……これは……そう!! 遠慮だよ遠慮!!」
「遠慮……だぁ? てめーの辞書に遠慮なんて言葉が存在してたとは、知らなかったな。」
問答無用の意思を腕力に込めて銀時の頭を抱込み、膝の上に乗せてぺろりと耳朶を舐めあげる。
「……っひゃ、」
「相変わらず耳は弱ェな。」
びくりと肩を竦めた隙に、素早く耳かきを穴の中に突っ込んだ。
「おま……っ!? マジでヤメ……、」
「大人しくしてねーと、鼓膜突き破っちまうぞ。」
「――――っ!!」
そのひとことで、銀時は身体を固くし、大人しくなった。
ふわりと耳にかかる銀糸をよけて、息を吹きかける。
「……っ、」
きゅ、とてのひらを握り締めて耐えようとする仕草が、たまらなく可愛らしい。普段の悪態をつくわ、だらしないわ、ふてぶてしいわといった、散々な態度を目の当たりにしていれば、尚更だ。
「小動物みてぇだな。」
「……うっせぇ。ヤるんだったら、さっさとしろよ。」
「……その云いかただと、どうも別のコトをヤる時のように聞こえるんだがな?」
「はああ!? 色ボケてんじゃねーぞテメェ!?」
「まあいい、ホレ。」
作業を開始しようと耳朶をつまむと、銀時はきつく瞼を閉じる。
まるで歯医者にかかる子供みたいだ。
普通、人に耳かきされんのって気持ちよくねえか?
少なくとも、俺はさっき、銀時にされていて、ずいぶんと気持ちよかった。
何でそんなに厭がるんだと思いながらも、人にされることに慣れていないから怖がっているのかと、優しく耳かきを動かしていく。
カリカリ……
「――っう、」
銀時が少しだけ肩を竦める。
「あ……、悪ィ。痛ぇか?」
「いや……そうじゃ、ねぇから。大丈夫。」
「そうか。ちょっとでも痛かったら、云えよ?」
「……わかった。」
カサ……
「……っ、」
「ん?」
「いや、何……でも、」
カリ……
「――――っ、」
先ほどと同じ処をかくと、銀時は再び、びくっと肩を竦める。
「…………?」
どう見ても、痛そうな反応ではない。当然だ。銀時の身体がどれほど一般常識から外れた頑丈さだろうと、化け物じみた速さで怪我を回復させようと、耳の中はどう足掻いても鍛えようのない処だ。だから、細心の注意を払って耳かきを動かしていた。
――――だとすれば。
もしや……コレは――――そういうコトだろうか。
中を覗くふりをしながら、銀時の耳朶にそっと唇を近づける。
……ふうっ。
「ひあ……っ!!」
耳の中に細く息を吹き込むと、物凄い勢いで背筋を反らせて啼かれた。
「て……っめ、イキナリ何しやがるッ!?」
いつもよりも敏感で、過剰な反応だ。
「耳掃除されてるだけだってのに、てめーがンな反応するからだろうが。」
息を吹き込まれた片耳をおさえながら、此方を睨みつける銀時の顔は、真っ赤になっていた。
何故か少し涙目になっているのがたまらない。
「お前がココ……、極端に弱いってのは知ってたけどな、」
膝の上から逃げた銀時を手元に引き戻して、耳朶の裏に口吻ける。
「ん……っあ、」
耳のかたちにそってゆっくり舐めあげると、また逃れようとして必死に身を捩らせるが、そんなことを許すほど、余裕はないし枯れてもいない。
「お前、もしかして、アレで感じたのか?」
「る……っせ、だから、厭だって云っただろうが!!」
身体を離そうとして突っ撥ねてくる銀時の腕を捕えて、力任せに抱き締める。
「耳舐められたくらいで、こうも腰砕けるか? 変態め。」
舌先を耳の中に捻じ込んで、形を辿るように這わせていくと、銀時の口からは力が抜けて、掠れた声が零れてくる。
「……っふ、っコノ……やろ、どっちがだよ!?」
銀時の膝が、乱暴な動作で股間に押しつけられて、いつの間にか硬く自己主張していた器官を指摘された。
「人の耳かきしてただけだっつーのに、おめーの息子はいったい何考えてんだよ?」
「煽った張本人が何を云ってやがる。」
押し倒してベルトを外す。下着の中に手を突っ込むと、既に硬くなりかけているものが指先にあたった。
「そっちこそ、耳舐められただけでコレってどうなんだ?」
唇がふれるか否かのぎりぎりの距離で、耳元に囁く。
「――……っん、」
「てめぇの方がよっぽど変態だろ。」
低い声で吹き込むように云い、勃ちかけの器官を擦ってやる。
「……ぁう、あ、だ……って、」
こいつにしては珍しく、恥ずかしそうな態で視線を逸らされた。
脚を閉じて逃れようとする姿に思わずこくりと喉が鳴る。
ンなことされたら、逆に突っ込みたくてしょうがなくなるだけだというのに。
「……いつも、お前と総悟が、俺のこと困らせて楽しんでるよな?」
「え……あ?」
「今、その気持ちが、すげぇ理解できるぜ?」
銀時の咥内に指先を滑らせ、唾液まみれにしてから後孔にあてる。
少しずつ崩して収める本数を増やす。
「おい……っ、待て。何……で、耳掃除してただけなのに、ヤられなきゃなんねーんだ!?」
「ガキ共がいなくなった時点で、こうなることは確定だっただろうが。」
「だ……としても、」
何かがとてつもなく気に食わないらしい眼で睨まれる。
「耳の穴に息を吹き込まれただけで半勃ちになるのは、そんなに悔しいモンなのか?」
「――っぶっ殺すぞ、てめ……っ!!」
「そういう眼で云われても楽しいだけだ。」
耳元に唇をよせて、ゆっくりと細く吐息を吐きながら、肛内の泣き処を指先でさする。
「――っあう……っひ、ゃ……あ、」
びくびくと、銀時の身体はおもしろいくらいに露骨な反応を返してくれる。
「……んの、ヤロ……!!」
銀時はいつまでも此方に鋭い視線を向けるが、身体は熱くなっていて、数本の指を埋めた体内は、ひくつきながら咥えた指に絡んでくる。
説得力もへったくれもあったモンじゃない。
緩めた入口に楔を衝きたてて、ゆっくり根元まで沈めていく。
「――――う……っあ、く、」
この瞬間が苦しそうなのはいつものことだ。
しかし、耳朶をやんわりと食みながら抜き挿しを繰り返していくと、銀時はぶるぶる震えながら身悶える。
いつもより反応がイイ気がするのは、気のせいか?
先走りを零す器官を放置して胸の突起を弄り、耳元に囁く。
「なあ、後ろだけでイけねえか?」
「――――っじょう……だん、」
「試してみろよ。」
「――……ッア、」
突き上げながら、耳元に唇をよせて荒く息をつけば、我慢がきかないらしく、露骨に肛内の締めつけがキツくなる。
「……コレ、気に入ったか?」
「誰……っが、――っあ、っうあ、」
穿つ速度をあげると、放置されている銀時の屹立から、ぽろぽろと透明な先走りが零れていく。その先端を此方に擦りつけるようにして、銀時が腰を揺らす。
弄ってくれ……とその眼で強請られれば、いくらでもしてやるのに、銀時からは物欲しそうな視線が向けられては外されるばかりだ。
「して欲しいコトがあるなら、云えよ。」
「……っん、にも、ねぇ……よ。」
「可愛くねぇ野郎だな。」
「可愛……くて、たまるか!!」
その強がりが可愛いのだと、当の本人は気づいていないのだろうか。
また耳の中の、奥に向けてそっと細く息を吹き込んでやる。
「――――っん……ん、」
面白いくらい、耳への刺激に連動して、銀時の中に沈めた屹立が締めつけられる。痛いくらいなのだが、反応が楽しくて止められなくなりそうだ。
「く……っあ、っく……あ!!」
そして、俺に必死でしがみついている手を放して、自分で前を弄れば楽になれるだろうに。余裕をなくしていてそこまで思い至れないのか、人に……と云うよりは、俺にしてもらうのがイイから、そもそも自分ではする気がないのか。
「や……っう、も……ぉ、」
どちらでもよくなった。
思わず喉の奥でわらう。
ぱらぱらと髪を乱して喘ぐ銀時はたまらなく煽情的で、いつも俺を振り回しているコイツが、俺の下で、ただ揺さぶられて喘いでいる姿がたまらなくて、どうでもよくなる。
「――――っく、」
銀時の耳朶に唇をよせて、自分がイった瞬間、低い声で、相手の名前をそっと口にした。
「銀……とき……っ。」
「――……っひ、――っうあ!? ――んあ……っう!!」
その途端、銀時は自分でも予想していなかったような驚いた声を上げて、吐精した。白い体液が流れて、肌を汚していく。
「……あ、うぁ、」
ぶるりと身体を震わせながら、囁かれた耳を押さえつけるようにしててのひらで覆う。
「――――ソレは、やべぇ。」
「な……ンだ、よ?」
肩で息をする銀時が、もう此処には触れるなと云わんばかりに、耳を隠す。
「イイから、もう退けっ。そしてもう俺の耳にさわんな!! べったべたになっちまったじゃねーか!?」
涙に潤んだ紅い双眸が、止めの一撃だ。
「退かねぇ。このままもう一回する。」
「……は?」
宣言し、埋めていた楔を再び奥へ擦りつけるようにして動きだす。
「……っい、あ、待て!! 無理!!」
「こっちだって無理だ。止まれねえ。」
「何でだよ!?」
「てめえが、あんな可愛らしい真似すっからだ。」
「は……あ? どんな……っんむ、」
煩い口は口で塞いで黙らせる。そういえば、コイツの耳にばかり夢中になっていて、肝心の唇にキスをしていなかった。
「ん……っふ、」
俺の声でイったりするとか――――止まれなくなって当たり前だろ!?
「テメ……は最悪……だ、バカヤロ……――あ!!」
「そんな表情で云われても、説得力なんかねぇよ。」
無理だ無理だと云いながら、中を穿たれれば再び快楽を含んだ声で啼く銀時に、思わず唇の端があがる。
「我慢して、俺に隠しているだけで、絶対に……まだ、他にもあるんだろ?」
「…………は?」
「こんなふうに、弱いトコロが。」
「――――っ!!」
ニヤリと笑って問いかけると、銀時は僅かにだが、怯えの表情を見せた。向けた笑顔は最初から悪そうなものになっていたであろう自覚はあったが、銀時の怯えがそれに拍車をかけた。
「どんなにてめーが隠しても、どんなに時間がかかっても、しらみつぶしに探し出して、徹底的に弄くってやるから……、」
「……っあの、ちょ……っと、土方……君?」
「覚悟しろよ?」
ドSコンビの気持ちが解る。
日頃の仕返しは、こういう時に、纏めて、だ。